8月中旬

8/6 バイトに早入り。

神宮花火大会があるため、バイト先の警備会社の社員さんたちは幹部からバイトの人までフル出動。その間、人が少なくなる本社で電話番として待機する。花火大会が終わっても、ゴミ拾いや会場巡回など、社員さんがやることはたくさんあり、24時を過ぎてからやっと帰ってくる人が多数。半日、分厚い警備服に身を包んで立ちっぱなしだったらしい。近場のホテルを見つけて泊まる人、タクシーで帰る人、知人のところに泊まる人など。
クーラーのきいたオフィスで窓から見えた花火はなるほど綺麗だったけれど、でもそれはどこか犯罪的なことにも思えた。



8月第2週
主にファミレスにお邪魔して、ずっとこの子とベッタリだった。

The Grapes of Wrath (Penguin Classics)

The Grapes of Wrath (Penguin Classics)

修士論文の論題でもあり、今執筆中の投稿論文の論題でもある小説。ダストボウルと資本主義の論理によって従来住んでいた土地や生活様式を奪われ、仕事を求めて西へ移住することを余儀なくされた農民集団、そしてその集団の一部を形成する主人公ジョード一家の苦境を描く。「大恐慌期」ないし「赤の30年代」の縮図として一般に認識されるこの小説は、30年代アメリカ文学を代表する作品の一つになっている。
中盤から後半にかけて、カリフォルニアについてからが俄然面白くなる。ベタだけど、一番好きなのはやっぱり主人公トムが家族を離れ、そしてプロットから永久に消える、その直前にするスピーチ。一度バラバラに離れてしまったらもう二度と会えないのではないか、と彼の旅立ちを悲しむ母親に対して、トムが語る。

I’ll be all aroun’in the dark. I’ll be ever’where−wherever you look. Wherever they’s a fight so hungry people can eat, I’ll be there. Wherever they’s a cop beatin’ up a guy, I’ll be there. [...] I’ll be in the ways guys yell when they’re mad an’−I’ll be in the way kids laugh when they’re hungry an’ they know supper’s ready. An’ when our folks eat the stuff they raise an’ live in the houses they build−why, I’ll be there. See? (419)
[大意]
俺は闇の中にいるだろう。あんたが目を向けるところどこにでも、あらゆるところに俺はいる。飢えた人たちがものを食べられるように戦いが起きるところどこにでも、俺はいる。警官が人を殴っているとき、俺はそこにいる。[...]頭のおかしいやつらが叫び声をあげるとき、腹の減った子供たちが、夕食の支度ができたとわかって笑うとき、俺はそこにいる。俺たちの仲間が、自分で育てたものを食べて、自分で建てた家に住むとき―そう、俺はそこにいるだろう。わかるかい?

前半ではわりにわかりやすく左翼的メッセージをあげつつも、後半では"supper's ready"とか言っちゃうし、ぐっと生活感がでてきちゃうあたりどうなんだ、と思う読者もいるだろうが、しかし、「個人主義の価値と連帯の必要性」、「個と集合」、「部分と全体」の間の弁証法をめぐってこの小説が構造化されていると考えると、ちょっとこのスピーチの意味がよくわかる、と思う。
詳しくは、もし僕の論文が掲載してもらえたら読んでやってください。でも、もし数か月後にリジェクトされてそうだったら、そのときは察してやってください。その場合には焼肉や寿司をおごってやってください。焼肉は国分寺の煉瓦舎、寿司は築地で宜しくお願い致します。そのあとお酒をおごっていただければ幸甚です。



8/14
ルネ小平で「週末よしもと」のライブがあるので、見に行く。おしどり、御茶ノ水男子渡辺直美スリムクラブNON STYLE、インパルス、トリは麒麟というラインナップ。小平にもこの面子が来るんだなあと、ちょっとビックリ。
会場の笑い的には、スリムクラブNON STYLEが一番盛り上がっていたと思うし、自分も同感。脂がのっているような印象を持った。御茶ノ水男子も、僕は事前には知らなかったし、本人たちも無名さを武器に笑いを取ったりしていたけど、好きだった。
しかし、どの芸人さんも声がよく通るし、滑舌がありえなく達者で、ステージを広く使うのも上手。ネタ云々の前に、きっと基礎技術の獲得にものすごい努力を注いできからこその今なんだろうなあと思った。



8月第3週
実家に帰省する。
が、基本的にはひたすらパソコンの前で論文直し。最近ちょっとは英語を書けるようになってきたかも、とかほんのちょびっとだけ自惚れていたのだが、原稿をお送りするたびに指導教官から帰ってくる真っ赤な原稿を見て、身の程を知る。内容的にも形式的にも、これから学ばなきゃいけない課題は山盛りだが、でも、楽しい。
16〜17日にかけては、おさななじみのいつものメンバーで集まって、漫談を楽しみつつ麻雀大会。寝不足だったので、やや集中力に欠けてしまった気がして、せっかく集まれたのにもったいなかった。しかし、毎度のようにガッツリ笑い、夏休みを感じた。お昼を食べに一度だけ外出して、異常な量のパスタを食べたのが、どうでもいいような細部だけどなぜか印象に残っている。去年同じメンバーで日光旅行に行ってからもう一年かと思うと、時間の立つのは誠に早い。年末年始や来年の夏にはまた4人で集まりたいが、メンバーの一人の頭痛が早く治るといいなと思う―こういう言い方は無責任なのかもしれないけど。そして、次回こそはギャンブル王N沢を倒すのだ。
20日は、R財団の面接を高崎で受ける。15〜16人のおじさまたちに囲まれつつ。自分なりには手ごたえは悪くなくて、やっぱり自分は本番に強いな、と調子に乗る。これで落ちてたら笑い草だけど、そしたらうまく加工して「すべらない話」に仕立て上げよう。



最後に、最近発見したお気にのアーティストをご紹介。スペインのシンガーソングライター、Russian Redです。本国ではすでに大人気らしいですが。
ちなみに、Russian Redってのは、口紅の色の名前だそうです。



"Cigarettes"ののびのびした歌メロと、楽しそうな発音がステキ。
あと、二個目のライブ映像の歌い方がガーリーでかわいい。
ベルセバもプロデュースに噛んでいるらしくて、グラスゴーの音楽(ベルセバmogwai, arab strap, Iain Archer)とか、ちょっとメランコリーな感じが好きな人にはオススメですよ!


では、8月も残り一週間。投稿論文のラストスパートがんばるっす!