GRE Trip to Seoul, 2010

2泊3日でソウルに行ってきた。
アメリカの大学院の文学系の学科に出願するためには、多くの場合GREという試験のSubject(科目別)テストである、Literature in Englishを受験しておく必要がある。年3回しか実施されないテストなのだが、締切近くまで申し込みをしないでいたら日本の受験枠が埋まってしまった。どうしたものかと悩んだところ、お隣の韓国では席が空いているではないか。そういうことならいっそ韓国で受けてしまえ、というわけで急遽受験に行ってきた。旅費は痛い出費だが、航空券がオフシーズンのため二万円くらいで取れたことと、円高による相対的物価安は不幸中の幸いだった。


11日木曜日、サブゼミを欠席させていただき、20時40分成田発の飛行機に乗ってソウルへ。機内の隣の席にいた女性が美術系の仕事をしていらっしゃる方で、色々新鮮な話を聞かせてもらえた。23時過ぎにインチョン空港に到着し、バスで一時間弱かけてソウル市内へ。ホテルは予約していなかったが、前回の韓国旅行でお世話になったところに飛び込んでみたらうまく泊めてもらえてラッキーだった。


12日金曜日、午前中は受験会場の東国大学校を下見し、お昼は大学の学食でビビンバを食す。3500ウォン(約250円)と、かなり格安だった。

午後は大学路(テハンノと読むらしい)という地域を訪ねて、軽く散歩。勉強をしても文句を言われなさそうなカフェを適当に見つけて、6時間くらいこもり、翌日のテストのPractice Testを解き、対策を考える。予想以上に苦戦の予感。帰りにマロニエ公園という場所を通ったら、サックスを吹いている人がいて、黄色い銀杏並木や冬の寒さと相まっていい感じを醸し出していた。また、駅地下の本屋さんでは、外国書だとサンデルさんがやはり人気のようだった。
↓は、マロニエ公園と、本屋さんの何かのランキング。1位と3位がサンデルみたい。


13日土曜日、午前8時に試験会場到着。9時15分〜12時05分まで、170分間で230問のGRE, Literature in Englishを受験する。今までTOEICだのTOEFLだの、果ては証券外務員だの生命保険販売取扱人だの色々な試験を受けてきたが、ここまでできなかったテストは初めてだ。特に、詩とか聖書の問題がでてきた瞬間にページをめくらざるを得なくなる。だって知らないんだもん。中にはよく読めばなんとかなるような、国語みたいな問題もあって、それは素朴に面白かった。アツイ文章なんかもところどころあって、読んでいて引き込まれた。
実はこのテストはちょっと変わった採点方式を採用していて、全部ヤマカンでマークすると得点の期待値が0になるようにできている。全て5択問題なのだが、選択肢が一つも消せない問題については、マークしない方がテスト全体の得点期待値が高い。その結果、ある程度正解が見込める問題だけをマークしたので、私の答案は半分以上がマークされずに残った。だが、テスト終了後答案用紙を回収する時にちらっと見たら、私の右の席にいた合衆国パスポートをお持ちのヒゲもじゃもじゃ男は、回答が真っ黒だった。彼が数学的思考を苦手としているか、または自分の天運を一点の曇りもなく信じているのでない限り、彼にはほとんどの問題が解けたということだろう。当たり前だけど、英米国籍の人間にとっては英米文学って「国語」なんだよなあっていう事実を痛感させられた。別に自分がやることは変わらないから関係ないと言えば関係ないのだが。
夜は19時半にインチョン空港を出発し、21時半頃に成田に到着する。隣の席にいた、二人の子供をもつママさんがいい人だった。自分が院生やってますと話したところ、「明るい未来を頼むよ〜」と言っていた。明るい未来、僕も頼みたいです、と思う。でも、「頼まれる側」を担うのは、つまるところ今生きている一人一人でしかありえない。
自分のやっている小さな営みがどこかで「明るい未来」のために役立てたら、と思う。